最終更新日 2024年11月13日
税理士法人の様々な特徴
税理士法人は2名以上の税理士が社員となって設立する法人のことです。
会社法で規定される合名会社に則した形で設立されていますが、特別法人と言う枠組みとなっています。
従来は税理士個人での業務が行われる形態だったのですが、より納税者の利便性を高め、多様化するニーズに応えるために、平成13年に法制度の整備があり、法人化することが可能になりました。
複数の税理士が集まることで、それぞれの得意分野を活かせる他に役割分担などで対応も効率化でき、これによって納税者に大きなメリットが生じると考えられています。
合名会社として設立されることになるので、税理士自身が会社の所有と経営の両方を行うことになるのが特徴です。
株式会社では株主が会社を所有し、取締役などの役員が経営を行うスタイルになります。
この所有と経営の分離を行わないのが合名会社などの持分会社の特徴です。
合名会社では更に、社員が無限責任を負うなどの特徴があります。
税理士法人になると行える仕事の内容についても見てみます。
例えば税理士の仕事に関連して実施される会計業務が可能となってきます。
個人でしたら会計事務所に頼らざるを得なかった場合でも、法人成りすると自身の事務所で会計を行うようなことも可能になってくるわけです。
他にも一般的な内容を許可するような制度が盛り込まれていますが、これはあくまでも制限付きです。
税理士法人は一般的な会社と違いますから、その事業目的は大きく制約を受けており、できる範囲は広くはありません。
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案件の幅が広がり経営のメリットに繋がる
法人化することで具体的にはどのようなことが可能になってくるのでしょうか。
例えば複数の専門家が在籍することで、より大規模な案件の取り扱いが可能になったり、より専門的に扱うべき依頼に対応できるようになってきます。
より高度な知識が必要とされるコンサルティングなどにも対応ができるようになるので、新たな顧客を獲得できる可能性は高まると言えます。
このような傾向があるために、税理士法人が設立される件数は、年間で200件にも上っているようです。
これは数自体は全ての事務所の1割程度ですが、今後も堅実に増加していくものと考えられます。
若干のハードルもありますが、それだけ経営にとってのメリットもあるわけです。
法人化することで得られるメリットとしては、ブランディングに関しては大きな効果が期待できるでしょう。
基本的に世間の考えと言うのは、個人よりも企業の方に高い信頼を感じるものです。
これは税務処理に関しても同じと言え、やはり会社として立ち上げている方がノウハウがあったり、責任感も高いと考えやすいわけです。
先述の通り1割程度しかないために、特に地方では他の個人事務所に対して差別化することもできるでしょう。
もちろん規模を拡張したい時にも、有資格者が複数在籍しているために有利です。
単に複数のスタッフを用意するだけではなく、監査法人と協力したり総合事務所として存在感を発揮することも可能となります。
ある分野に特化した人材を集めることで、強力な競争力を手に入れているケースもあります。
この部分は自身の能力に加え、どのような相手と組むかによって大きく変わってくるでしょう。
法人化への設立に重要な注意点
設立するためのハードルですが、これは有資格者をパートナーとして迎え入れることになるのが、第一関門です。
いい加減な相棒を持つと、将来は困ったことになるのは想像にかたくはありません。
加えて合名会社としてスタートすることになるので、この点にも注意が必要です。
合名会社は無限責任社員で構成されるのが特徴となりますが、これは出資分だけではなく、個人財産までもがアテにされてしまいます。
つまり業務上の失敗があり、多額の損害賠償が発生したような場合は、まずは事務所の財産をあてがいますが、それでも不足するなら自身の責任と財産で支払っていくことが求められます。
したがって共同で経営する相手の見極めは、かなり慎重になるべきと言えます。
能力や人柄と共に経営上の考え方もしっかりとチェックしたほうが良いでしょう。
第二関門は設立手続きに関してですが、これは会社の立ち上げに携わっていたり、法律を勉強しているとそこまで難はありません。
基本通りに登記によって設立されることになり、2週間以内に届け出が要求されています。
他には事業目的を定款で定めたり、事務所を設置することなどが要件です。
法律関係では競業避止義務などに特色がありますので、この辺りは条文で確認するのがおすすめです。
なお個人ではできた範囲にも制限が出てくるので、これも確認しておきましょう。
例えば保険代理店や不動産貸付業のような事業は、行うことができなくなってきます。
これは税理士法人の制度整備の目的が納税者の利便性向上にあるために、他のビジネスを色々とやると言うのは本来の意図に反すると考えられるためです。
したがって多彩なビジネスを展開しているケースでは、デメリットが大きくなるかも知れません。
もちろんデメリットやリスク以上に、強みとなる部分も多いです。